フツーって言うなぁ!

フツーなサラリーマンのフツーな嘆き.

ネットワークスペシャリスト試験を受けてきた

10/19に行われた情報処理技術者試験の1つ,ネットワークスペシャリスト試験(NW試験)を受験してきました.

記憶があるうちに,試験前に何をやってたかと,当日の感想をまとめておきたいと思います.

2014年8月上旬

春のデータベーススペシャリスト試験(DB試験)に合格した時に,秋はNW試験を受けると決めていた.
申し込み開始したのを見つけた時点でさっさと申し込む.

この時点ではそのまま放置.

8月下旬~9月上旬

DB試験の時に,短時間で詰め込むつらさを痛いほど学んだので,今回は書いていた論文の投稿が終了した時点ですぐに取り掛かるようにした.
この時点で残り1ヶ月と2週間程度.

情報処理技術者試験自体は5回目の受験になるので,さすがにどんな感じはつかめている(と思う)が,ネットワークについてマジメに勉強したことはなかった.
DBとは違って専門外であり,大学院生の自分には実務知識もないので,最初に教本を読んで知識の詰め込みを行い,そこから広げていくという,いつものスタイルを踏襲した.

とりあえず買った本を晒しておく.

この時はまだ,ヒマがある時にパラパラとめくる程度だった.
情報セキュリティスペシャリスト試験(SC試験)で触れた内容もあったが,それでもわりと覚えることが多いなと感じた(特にレイヤ2以下の知識).

今までの経験から,早いうちに過去問を何問か解いて,合格点との間にどの程度の乖離があるかを測っておくと,勉強のモチベーションになっていいと考え,実際にやってみた.

感想としては,「知らないことが多くて答えようがない」.
パケットの動きやルーティングなど,具体的なイメージを持てないと解けないと感じた.

SC試験のように頭をひねれば解ける問題が多いわけでもなく,DB分野ほど自分の知識があるわけでもない.
この時点で「少し厳しいかも」と思うようになった.

もちろん,わからなかった問題については解説を読むようにし,ついでにその辺の知識を補うようにした.

解説目当てで買った問題集*1

9月下旬

修士論文の中間試問対策で少し勉強から遠ざかっていた.

復帰した後は,問題演習を繰り返しつつ,知識を拾っていった.

特に,研究室にあったので読んだマスタリングTCP/IP入門編は本当にいい本だった.

マスタリングTCP/IP 入門編 第5版

マスタリングTCP/IP 入門編 第5版

OSI参照モデルがなぜこのようになったのか,各層において実際にどのようにパケットを処理しているかなど,明確に理由を示して(必要ならばそうなるに至った歴史も含めて)書くように心がけられているので,説明が腑に落ちるし,問題を解く際にもイメージが持ちやすい*2

読み終わる頃には,TCP/IPについての問題なら午後1合格点レベルぐらいに到達すると思う.

10月上旬

この時点で試験2週間前.
だいぶ余裕がなくなってきた*3

この頃には過去問4年分に(問題選択含めて)1回触れることができた.

ここまでやってみての感想として,

  • PCやスイッチ,サーバがネットワーク構成図に現れ,パケットの流れを追っていくタイプの問題は解答しやすい.

    • この手の問題では,LB,STP,VLANなどの技術は頻出で,これらに加えて,VRRPなど比較的新しい技術が用いられる.
  • 逆に,スイッチの物理配線やIP電話など,IP以外の知識が必要となるタイプの問題は解答しにくい.

といった感じ.

過去問ではIP電話についての出題も多かったが,たぶん午後2では解かずに済むんじゃないかなという希望的観測のもと,今回は上のタイプの問題に集中することにした.

ネット上でわりと評判の良かったネスペの剣25を買う.

ネスぺの剣25 ~ネットワークスペシャリストの最も詳しい過去問解説 (情報処理技術者試験)

ネスぺの剣25 ~ネットワークスペシャリストの最も詳しい過去問解説 (情報処理技術者試験)

この本は,2013年(去年)の過去問のみの解説書となっているが,設問に関係する部分以外についても,「出題者はなぜここでこの記述をしたのか」について細かな説明が施されており,過去問を骨の髄まで吸い尽くしている.
また,設問部分については,「なぜその解答になるのか」だけでなく,「なぜその解答以外の解答にならないのか」についてまで記載されており,理解の深まる構成になっている.

たった1年分の過去問解説に2500円出すのはちょっと…と思って敬遠していたが,結果的には「もっと早く買っておけばよかった」と思う参考書だった.

10月中旬

試験まで1週間を切った.
ここからは研究室の用事はほぼすべてほっぽりかして勉強していた.

基本的には午後試験を1日1問,午後1→午後2→午後1→…の順でローテしていく.

NW試験に限らず,情報処理技術者試験の午後問題は,設問箇所以外にも,問題文の所々に設問のための布石を打つ書き方になっているので,1度問題を解いて解説を見た後にもう1度問題文を読むと,全体構成を理解できるようになり,見えなかった部分が見えてくるようになっている*4
したがって,1度解いた問題についても,しばらく経ってから解き直すようにした.

当日

朝起きたら若干喉が痛かったが,熱はなさそうだったので会場に向かう.

午前1

免除.

午前2

過去問覚えゲー
5年分しっかり覚えれば6割は固い.

午後1

ここからが本番.

問3がセキュリティの話で,穴埋め問題ができそうだったので取ることにした.
問1はOSPFの話が面倒そうだったので却下.
結果として問3,問2を取ることに.

問3:
DNSキャッシュポイズニングやセキュリティインシデントに対する対策など,完全にSC試験の問題だった.
勉強したのが1年前なので記憶が飛んでいるところもあったが,そこそこ埋められたように思う.

問2:
障害対応についての問題.
こちらも手順さえわかれば何とかなったように思う.
でも設問3はよくわからなかった.

解答速報などは見ていないが,手応え的には6割弱ぐらい.

午後2

最初にパラパラ見て,VoIP-GW,IP-PBXという文字を見た時点で問2を読むのをやめた.
それに対して,問1はなんかいけそうなので取った.

問1:
SPFも出てきて,いよいよSC試験になってきた*5
と言っても,SPFについてそこまで勉強したわけでもないので,問題文の誘導にしたがって解いたつもり.
パケットフィルタリングのルール設定はNWっぽいかなという感じだったが,SSL,ログ取得のメリットなどの問題を解いていると,完全に自分が1年前に戻ったような錯覚を受けた.

6割は取れる解答を書けたと思う.
でも,Twitterとか2chとか見てる限りあまり難しかったという話を聞かないし,採点厳しくなりそう.

全体的に

院生生活の1/6(1ヶ月*4回(AP,SC,DB,NW)/24ヶ月)を費やした私の情報処理技術者試験が終わった.

最初は,「情報系の学部出るけど情報のこと何も知らないな…」という危機感から受験した試験だったけど,個人的に少しは成長できたのではないかと思う.

情報処理技術者試験では,OSやベンダ依存の知識は全く扱わないので,こんなものは役に立たないという意見もあるが,基本的な仕組みと,それを応用するための方法を学べば,後はツールの使い方を知るだけで,そこまで学習コストの大きいものではないのではないかと思う*6

また,「高難度の資格試験合格」という,そこそこ高い目標を持って勉強することで,ただ漫然と本を読むより格段に効率のいい学習ができると感じた.
あと,これは実務的にいいのかわからないが,試験日までの短期間に集中して勉強することも,効率面では重要だと思う*7

知識だけあっても,使わなければただの持ち腐れになる.
試験を足がかりにして,最終的には実際の機器も触れるようになりたい.

最後に,これが合格体験記になればいいな,と.

続き

lethe2211.hatenablog.com

*1:問題も解答もWeb上に上がっているんだから,もう少し解説に力を入れてもいいんじゃないかな…

*2:断片的な知識であればWebページに書かれているものでも十分だと思う時があるが,体系的に情報を表現できることに関しては本に勝るものはないと感じた

*3:書いた論文は無事採択されたが,カメラレディに向けての修正にはほとんど時間をかけられなかった

*4:「あ,ここの1文ちょっと不自然だったけど,この設問のためだったのか」みたいな

*5:試験教室を間違えたのかと思って問題用紙の表紙を確認したレベル

*6:もちろん,ベンダ依存の仕組みがあるならそれは勉強しないといけないけど

*7:個人的には,これに加えて,受験料やら参考書やらに金をかけることで後戻りできなくすると,より勉強のモチベーション(プレッシャー?)になっていいと思う